ストーリー

横川の商店街に、「絲よし」という糸を取り扱う古い店がありました。「絲よし」には、糸織(しおり)という美しい娘がいました。その美しさから、ある人々は羨望も込めて「糸姫」と呼んでいました。
糸織には、つきあっていた綾夫という医師の恋人がいました。糸織は、綾夫のワイシャツの襟の折り返しに、“隠し糸”を縫い込みました。隠し糸とは、好きな人と結ばれるようにと、お互いの衣服の見えないところに赤い糸を縫い込んで願いを掛けるものです。
けれど、いつしか二人の仲は冷え始め、やがて二人は別れてしまいます。その後、糸織には新しい恋人ができ、彼の襟の折り返しに隠し糸を縫い込みました。
一方、綾夫は糸織のことが忘れられません。別れた後も、何かと口実をつけて糸織に近づこうとします。そのことが、ますます彼女の気持ちを冷めさせてしまいます。
ある日のこと、糸織は首の後ろを切る怪我をして意識を失ってしまいます。綾夫と別れたことを知らない両親は、彼に手術をしてもらいたいとお願いします。手術を始めた綾夫は、あることを思いつきます。
傷の縫合に、あの糸を使おう。そうすれば糸織の心がもう一度自分に戻ってくるかもしれない……。
綾夫は、自分のワイシャツの襟から隠し糸を抜き取ると、その一部を使って傷口を縫合してしまいました。
手術は成功し、やがて抜糸となります。けれど、手術用でない糸は体の中で溶けず残ってしまいます。
綾夫は糸織への思いを込めて、彼女の首筋に隠し糸を縫い込んだのです……!

麻酔から覚めた糸織は、自分を手術したのが綾夫だと知って凍りつきました。自分の体が穢されたような気持ちになり、綾夫への嫌悪が強い憎悪へと変わりました。
思いを遂げることができないばかりか、一層憎まれるようになってしまった綾夫は、ある晩絲よしの糸で編んだ縄で首を吊って死んでしまいます。糸織への歪んだ愛情と怨念を抱いたまま。
その愛憎と怨念は、糸織の体に残された赤い糸に宿り続けました。

退院した糸織の体に、やがて異変が起こるようになりました。
体から、赤い糸が出てくるのです。
気味が悪くなって切ろうとすると、まるで神経を直接切るかのような激痛が襲います。そのため、切ることもままなりません。指先や額や耳たぶから伸びてくる糸で、美しい糸織の姿は見るも無惨なものに変わってしまいました。それは、まるで死んだ綾夫の怨念が、糸織をがんじがらめにしているかのようです。
絲よしの糸姫が化け物になった……!
人々は興味深げにこんな噂話をし始めました。両親は糸織を部屋に閉じ込めて、外に出さないようにしました。つきあっていた恋人も、最初のうちは見舞いに訪れたものの、その不気味な姿を見ると、次第に足も遠のき、やがて顔を見せることもなくなりました。そのうちに、別の女性へと心移りしてしまったと言うことです。
孤独は、彼女の体も蝕み、伏せる日も多くなっていきます。
どこでどう間違ってしまったのだろう?
弱った体を布団に横たえて、糸織は考えます。
本当なら、いま頃は赤い糸で結ばれた恋人と結婚をして、かわいい子供の一人も育てているはずだ。なのに、今の自分は、一日じゅう閉め切った部屋の中で誰とも口をきかず、醜い姿で湿った布団に伏せっている……。
どこかでたどる糸を間違えてしまい、見れば糸はこんがらがって戻る糸もみつけられない。自分の運命の糸はもう、どこから解いていいかもわからない。
彼女の心は次第に蝕まれていきました。
その頃から、糸織はうなじの傷口をつままれるような奇妙な感触を覚えるようになります。まるで、死んだ綾夫から体の中の隠し糸を引っ張られているかのようです。
こっちへ来い……。こっちへ来い……。
糸はますますこんがらがり、解ける糸口はみつけられません。湿った布団に身を横たえて三年もの歳月が過ぎた後、彼女は一つの結論に到ります。
こんがらがった糸は、切ってしまうしかない……!
その晩、とうとう彼女は自分で自分のうなじを切り裂き、隠し糸を取り出そうとしました。
けれど、体の中の隠し糸は思ったよりも長く、引っ張っても引っ張ってもずるずると切れません。うなじを裂いたまま、やがて糸織は死んでしまいました。

それからしばらくして、絲よしの商売は傾き、やがて店を閉めることになりました。
けれど、誰もいなくなったはずの店の戸口から、時々赤い糸が垂れていることがあるということです。それは、糸織の霊が垂らした赤い糸です。
その糸を摑むと、不意に強い力で引き込まれ、そのままあの世に引きずり込まれてしまうということです。その人が本来持っていた赤い糸を切られて、糸織の怨霊の糸に引きずり込まれてしまうのです。
こっちへ来い……。こっちへ来い……。

人と人は、友だちや恋人など深い関係を持つ者同士、一本の運命の糸で繋がれていると言います。
糸織には、その糸が恨めしくてたまりません。いつでも闇の中から、その糸を切ろうと狙っています。
どうか、その糸を糸織に切られることにないように、十分に気をつけてください。

開催概要

催事名称 横川お化け屋敷「赫い糸の家」
会  期 2014年7月26日(土)〜9月7日(日)平日12:00~20:00 土日11:00~20:00
  (8月11日〜15日 11:00〜20:00、9月1日〜5日 15:00~20:00)
会  場 横川商店街「星のみち」 横川3丁目バス停前

料  金 950円(税込)
  ※6歳未満の入場はご遠慮ください。
主  催 テレビ新広島 広島エフエム放送 横川商店街連合会
企画・制作 オフィスバーン TUG Relation クロスディパブリッシング
演出 五味弘文(オフィスバーン)
入場券発売 7月1日(火)〜
○むねとしタバコ店宝くじ売り場(横川町3-3-12)
○エディオン広島本店
○ローソンチケット(Lコード:63455)
○チケットぴあ(Pコード:989-000)
○セブンイレブン(セブンコード:032-170)
※開催中は券売機にて当日券をご購入いただけます。
お問い合わせ TSS事業部 082−253-1010
ご利用について 1グループ4名様まで一緒にご利用いただけます。
※混雑時には他のグループのお客様と一緒にご入場頂く場合があります。あらかじめご了承ください。